シニアのコロナ禍の運動不足が深刻!?
長引く新型コロナウイルス下の生活が、高齢者の身体機能や認知機能に影響を及ぼしているということがわかりました。日本経済新聞の記事によると、自治体などの調査で、こうした機能が低下した「フレイル」が進行しているというものでした。緊急事態宣言や「まん延防止等重点措置」などの感染対策によるステイホームや外出の自粛が1年以上経過し徐々に高齢の方々の体を変えていきつつあるということです。
同新聞によると、2度目の緊急事態宣言が解除され間もない3月下旬、東京都葛飾区の70代女性は自宅で立ち上がろうとすると突然、体が支えられなくなりましした。床に座り込み、「足に力が入らない……」。近所に住む娘に連絡し、病院に行くと「筋力の低下が原因」と診断されたそうです。
女性は1月上旬から数回しか外出せず、日用品や食品は通信販売などで購入し極力外出をしない生活を続けていたようです。「感染が怖いから外に出なかったけど、ここまで体が弱っているとは思わなかった。」東京は3度目の宣言下にあるが、1日1時間程度は外を歩くようにしているといいます。
社会とのつながりが薄れ、心身が老い衰えた状態を指すフレイル。自治体の調査結果からも、コロナ下で高齢者のフレイルが進行している状況が浮かんできます。
私の体操教室にもコロナ前まで継続して参加されており、緊急事態宣伝をきっかけに体を動かさなくなった80代の男性は、参加していた去年までは足腰が元気で杖もつかずに生活をしていましたが、先日メールにてお体の具合を伺ったところ膝が痛くなり受診したところ運動不足による筋力の低下と診断され今では杖をついての生活になっているそうです。
この方はもともと外出機会が多く、地域との交流が活発なかたでした。週に1回の体操教室に参加していましたが、緊急事態宣言をきっかけに外出機会の減少と運動習慣がなくなってしまいました。
東京都豊島区が東京大と連携し65歳以上の高齢者に毎年度実施している調査では、手足の筋力や握力などの測定値に基づき、フレイルが疑われる割合が20年度は29.8%となった。19年度の21.3%から8.5ポイントの上昇だ。区の担当者は「コロナフレイルは確実に進んでいる」と警戒する。
大阪市は高齢者約200人を対象にバランス能力と筋力を3年間継続して調査し、2年目と3年目の測定結果を比較しています。コロナ感染拡大前の2018年度から19年度にかけてバランス能力が下がった人の割合は35.5%、筋力は44.2%でした。一方、コロナ下を含む19~20年度ではバランス能力は53.8%、筋力は72.9%が低下していたそうです。
大阪市の担当者は「18~19年度と19~20年度では調査対象者が異なるものの、コロナの影響による数値の悪化は明らか」と分析しています。
フレイルはコロナ感染者の死亡率にも影響するという報告もあります。英バーミンガム大の研究チームは12カ国55病院のコロナ患者5711人を調査し、深刻なフレイルが確認された人は死亡率が3倍だったとする結果を2月に公表しております。回復後に「手厚い介護」を必要とする人も7倍に上ったそうです。チームは「感染や重症化リスクは高齢かどうかだけでなく虚弱性も関わる」と警鐘を鳴らしています。
身体的な虚弱だけでなく、認知機能の低下も懸念されるという調査結果も出ています。
筑波大の久野譜也教授らのチームは3月下旬、20年5月と11月に一部自治体の60歳以上を対象に実施した調査で、「物忘れがひどくなった」との回答割合が11月は5月の2.1倍に膨らんだとの結果を明らかにしました。60~90代の全年代で「外出機会が週1回以下」とした割合が約10ポイント増えていました。
海外の調査では、週2時間以上の運動をしていたコロナ患者は死亡率や入院率が低かったという結果が出ています。久野教授は「コロナが収束したとしても、要介護者や認知症患者が増える可能性があります。国や自治体は人の流れを抑えるために行動制限をするだけでなく、運動や会話などの社会活動も両立できる方向で感染対策を講じるべきだ」と話しています。
未だ猛威を奮っている新型コロナですが1年半が経とうとしている今高齢の方々は感染症の予防に加えて運動習慣をしっかり身につけて筋力の低下を防ぐことが今後心身ともに健康に過ごしていく上でとても大切になってきます。
私たちは福祉施設やシニアサークルで出張体操教室をしておりますが、私たちの提供している「ちょけん体操」は介護予防DVDやYou tubeでご自宅でできる体操プログラムを発信しています。「ご年齢や体力に左右されずどなたでも継続して運動習慣を身に着けることができる」プログラムとなっています。
これからのコロナ禍を皆様が元気に過ごしていけるよう僕たちはこれからも体操を発信していきます。一緒に体を動かして笑顔でこのコロナ禍を乗り越えていきましょう!