寝たきりの高齢者でもできる簡単な体操 – 健康を「貯金」するために

高齢者・シニア専門の出張体操トレーナーのちょけん先生です。

高齢者・シニアの皆さんにとって、健康を維持するための運動習慣はとても重要です。しかし、体調やケガが原因で体の自由が制限されている場合や、介護認定されており、ベッドから起き上がれない状況では、どのような運動が自分の身体にあって効果的なものかわからず悩んでしまうこともあるかと思います。そんな方々でも、無理なくできる運動や体操がたくさんある中で何を選ぶかが大切です。ここでは、ベッド上でできる簡単な運動を紹介し、健康を「貯金」していくお手伝いをさせていただきます。

実際に体操を行う際は、現在通院されている医療機関に必ずご相談のうえ、問題ないことを確認してから行ってください。

寝たきりの方に適した運動の重要性

まず、寝たきりの方にとっても運動が必要な理由を少し説明します。体を動かすことは、筋力の維持や血行促進、関節の硬直予防に役立ちます。また、寝たきりの状態では、体が動かせないことで褥瘡(床ずれ)や身体の歪みや筋肉の硬直などのリスクも増えるため、少しでも体を動かすことが予防につながります。さらに、心肺機能の維持やメンタル面の改善にも、軽い運動は効果的です。

1. 深呼吸運動 – 心身のリフレッシュ

最初に取り組んでいただきたいのが、深呼吸運動です。呼吸は無意識に行う動作ですが、意識的に深く行うことで、リラックス効果と心肺機能の維持が期待できます。

やり方

  1. ベッドの上でゆったりと横になり、肩の力を抜きます。
  2. 鼻からゆっくりと息を吸い込みます。このとき、胸ではなくお腹を膨らませるように意識します(腹式呼吸)。
  3. 息を吸い切ったら、口からゆっくりと息を吐き出します。このとき、息をすべて吐ききるように心がけましょう。
  4. これを5回繰り返します。

深呼吸は1日に何度でも行えます。気持ちが落ち着き、心身ともにリフレッシュできます。

2. 足首回し運動 – 血流改善と足のむくみ予防

次に、足首回し運動を行います。足首を動かすことで、下半身の血流を促進し、むくみを予防する効果があります。

やり方

  1. ベッドの上で仰向けに寝た状態で、片方の足を少しだけ浮かせます。難しい場合は、介助者に足を少し持ち上げてもらってもかまいません。
  2. 足首をゆっくりと回します。右回り10回、左回り10回を目安に行います。
  3. もう片方の足も同様に行います。

この運動は、体力を使わずに簡単にできるので、1日に数回取り入れることをお勧めします。

3. 手指のグーパー運動 – 手先の血流促進

手や指も、動かさないと筋力が低下し、細かい動作がしづらくなってしまいます。そんなときには、手指のグーパー運動が効果的です。

やり方

  1. 手をゆっくりと広げて、指をピンと伸ばします。このとき、手のひらも広げて、可能な限り大きく開きましょう。
  2. 次に、ゆっくりと拳を握り、ぎゅっと力を入れます。
  3. これを10回繰り返します。

この動作を行うことで、手指の血流が改善し、日常の動作もしやすくなります。簡単な動作ですが、継続することで効果が期待できます。

4. ひざ曲げ伸ばし運動 – 下半身の筋力維持

次に紹介するのは、ひざ曲げ伸ばし運動です。下半身の筋力が低下すると、立ち上がりや歩行が困難になることがありますが、この運動はその筋力を維持するのに役立ちます。

やり方

  1. ベッドの上で仰向けに寝た状態で、片方の膝を曲げます。足の裏をベッドにしっかりとつけましょう。
  2. ゆっくりと膝を伸ばして、再び曲げる動作を繰り返します。
  3. 10回行ったら、もう片方の足も同様に行います。

この運動は、無理をせず、可能な範囲で行ってください。筋力を維持するだけでなく、膝関節の可動域を広げる効果もあります。

5. ガニ股パタパタ – 股関節の柔軟性

ガニ股パタパタは寝たきりや動かない時間が長くなることで動きが悪くなてしまう股関節の柔軟性に効果的な体操です。この股関節も動きが悪くなると歩行に影響が出るだけでなく、転倒や足の動作時の痛みにもつながります。この運動は寝ながら手軽に行え、さらに習慣にすることで股関節の柔軟性に効果的な運動を紹介します。

やり方

  1. ベッドの上で仰向けに寝た状態で、両足を外側に曲げ足の裏を付けます。
  2. 脚の裏御押しを付けたままリラックスしながら膝を上下に小刻みにパタパタさせます。
  3. 上下の動きを1分間継続しましょう。

6. 腕の上げ下げ運動 – 上半身の筋力維持

最後に、腕の上げ下げ運動です。腕を動かすことで、上半身の筋力を維持し、肩や背中の柔軟性を保つことができます。

やり方

  1. 仰向けに寝た状態で、両腕を体の横に置きます。
  2. ゆっくりと両腕を天井に向かって持ち上げ、さらに頭の方へと伸ばします。
  3. その後、ゆっくりと元の位置に戻します。
  4. これを5回繰り返します。

この運動を行うことで、肩こりや背中の硬直を予防できます。

継続することが大切

ベッド上でできるこれらの運動は、無理なく行える範囲で取り入れることが大切です。ご紹介した体操はどなたでも行いやすく継続しやすいものとなっております。1回1回の効果は椅子に座ったり、セラバンドを使用した体操と比べ小さいものですが、継続して毎日行うことで効果が出てきます。ただし無理をせず、自分のペースで取り組むこと。そして、継続することで徐々に筋力や柔軟性を高め、体の機能を維持していくことが可能です。

もし、一人で行うのが難しい場合は、介助者に手伝ってもらいながら進めてください。安全第一を心がけ、体に無理がかからないように注意しましょう。

寝たきりの状態であっても、体を動かすことは健康維持のために非常に大切です。深呼吸や足首回し、手指のグーパー運動など、簡単な体操を取り入れることで、筋力や血行を保つことができます。これらの運動を続けることで、心身ともに健康を「貯金」していきましょう。

当社では、高齢者・シニアの方に出張パーソナルトレーニングサポートを行っています。ご興味ある方はお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

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